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お知らせ

2016年度の分子生物学会にてダウン症研究シンポジウムを行いました
2016.12.20
2016年度の分子生物学会にてダウン症研究シンポジウムを行いました。(文責:南)

 本シンポジウム企画の経緯:DSCR-1 の研究を進めるうちに、ダウン症遺伝子全体での位置づけ、神経科学者、白血病、循環器、皮膚、発がんの研究者と情報交換しないと、全体像が見えないことに気づきました。ダウン症の表現型が周知の早期アルツハイマー、心形成不全、急性巨核芽球性白血病のリスク向上のみならず、骨粗鬆症、雌性不妊、弱視、円錐角膜、歯周病、浮腫、短寿命の問題を抱えていること、一方発がん、固形がん、動脈硬化の罹患率は顕著に減少する利点もあります。ダウン症遺伝子を介するこれらの病態解析を各専門の先生方と情報交換することで、その原理の共通性や特殊性を理解し、思いがけないーダウン症以外のがんや生活習慣病等に対する新たな創薬標的が見出されることも期待できます。早速このシンポジウムを介して、急性白血病に至る GATA1 変異の前段階の異常が不明だったのですが、その1つに Trib1 があること(中村卓郎先生)、突然変異由来でない戦略的なダウン症モデルマウス作製の重要性(石原先生)、DRYK1A のシグナル(倉林先生)、さらに本交流により、Runx1 と細胞老化制御(寿命)の新規経路などの情報を交換できました。日本は欧米に比べ、ダウン症研究ネットワークが殆どありません。分散していて、将来の緩和治療のため患者団体と情報交換することも出来ていません。一方アメリカにおいては 'treating trisomies' という題目でダウン症の出生前治療の解析を進める重要性がクローズアップされ、今年度冒頭の nature medicine に紹介されています (Kuehn 2016)。そこでまずは研究者間において病態原理解析から情報を共有し、次に繋げることを期待し企画しました。

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