お知らせ

新学術領域研究―数理の宿題を1つ完成しました
2021.08.26

NFkB が直接標的である I-kB を誘導し、負のフィードバックが生じると、結果的にNF-kB 活性化は減衰振動するパターンが生じます。これは Hoffman らがサイエンス誌に投稿され、I-kB のファミリータンパクでの検討もされてきました。一方、炎症関連でNFkB と同じ横綱的位置にある NFAT については、自己調節を司るダウン症関連因子 (DSCR)-1 がその役割を担う中心的存在であることをこれまでに我々を含め報告してきました。ただ、数理でのアプローチはほぼ進められておらず、このグループ研究の支援を頂き、素人ながら進めてきました。また、血流が生じるとカルシウムシグナルが内皮細胞で秒単位で生じることは著明ですが、それに続いて本当に NFAT 核内移行が生じるかについても実はしっかりとした報告はありませんでした。そこで、血流を模倣する share の機器を作製してこれに共焦点顕微鏡をつなぎ、カルシウムのspike シグナルを同定すると共に NFAT1 が複数回核内-核外移行する動的変化を捉えることが出来ました。更に安定的な NFAT 活性化を生むことで知られる VEGF 刺激を共に、本題である NFAT-DSCR-1 feedback loop を数理で再現し、減衰振動するパターンをパラメーターで予測することもできました。事情で急ぎのため、速報誌に報告しました。

 Biochem Biophys Res Commun. 2021 Sep 24;571:201-209.     

 Doi: 10.1016/j.bbrc.2021.07.072.Epub 2021 Jul 28.

 なお、NFAT には1-4の calcineurin 応答性のファミリーが存在し、かつ内皮細胞2次元培養でも heterogeneity が認められ、これらは今後の課題です。

興味を持たれた方、血管研究を多岐に渡り知りたい、やってみたい方は是非本分野へどうぞ。

(文責:南)

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